革製品のオーダーメイド 銀座 オーソドキシー

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2023.04.5

最近の原皮はなぜ、キズが多く、厚みが薄くなってきたか?

このコーナーでは何度か

「革を取り巻く状況」をお書きしました。

今日は

ここに至るまでの状況をお知らせします。

 

 

 

 

 

 

私どもの特製牛革、

ベア・スキン・レザーには

ヌメとルバルの2種類があります。

どちらも表面の肌を

コーティングしていない、水染色の革です。

 

ですから、元々の肌にキズがあると

隠しようがありません。

 

 

 

 

 

 

30年前、100歩譲って15年前まで

これは困った…というほどの表面キズは

まだ少なかったのですが、

最近では「この一枚の革から

バッグパーツをひとつ分取れるかしら?」

というほどキズが目立つようになってきました。

 

私どもと違って、量産している会社は

たくさん作ることが使命ですから、

必ず革の表面加工をしていまして、

ここ10年ほどで、

その技術はかなり進歩しました。

ですから

量産方向で製造を続けていくのであれば、

そこまでひどく歩留まりが悪い、

ということはないでしょう。

 

 

 

 

 

 

では、そこまで製造状況が変わるほど

なぜ革の状態が悪くなったか、

今日はその一部をご紹介します。

 

ことの発端は狂牛病です。

狂牛病が起きてから、牛のご飯は

最初はトウモロコシ等の穀物になり、

それでは牛の育ちが良くないため

さまざまな配合飼料が生まれました。

 

 

 

 

 

 

もっとも効率よく牛が大きくなる資料は

高価なものになりました。

そうなってきますと、狂牛病前は

4~5歳で肉になってもらっていた牛を

2年半~3年で肉にするようになりました。

長く育てれば、飼料代が高くつくからです。

 

 

 

 

 

 

おまけに、効率よく製品にするために、

15年ほど前まで行っていた

塩素水の沐浴もしなくなったそうです。

私たちがプールに入る前

塩素水層にドボンと入るように、

牛たちにも沐浴をさせていました。

 

牛には手がありませんから

虫刺されを掻くことができません。

それで塩素水層に入れることで、

虫よけをしていたのです。

 

ところがそのお水を飲むコたちが

たまにいるということで、

その習慣はなくなってしまいました。

 

 

 

 

 

 

それから

虫刺されに悩まされる牛たちは、

地面をゴロゴロして

虫やかゆみと戦うようになりました。

 

そのゴロゴロした時の傷が治らず、

今の原皮の状態に至っているそうです。

 

 

 

 

 

 

㈱栃木レザーでは

長い間カナダの革を使ってきました。

そうした原皮の状態を心配した彼らは、

しばらくの間

北アメリカやオーストラリアの牧場を

探したそうですが、

やはり当初からお付き合いのある

カナダの原皮が良いとわかったそうです。

元木に勝る末木無し、ですね。

 

生ものでない工業製品であれば

いつでも同じものを作れますが、

原料の皮はまさに生ものです。

 

 

 

 

 

 

当たり前のように存在している革も、

たくさんの人のさまざまな努力によって

奇跡のように存在しています。

 

その中で作っていただいている

オーソドキシー独自の革は、

もっとも貴重な作り方を

してもらっています。

いつまで作ることができるかわかりませんが、

なるべく長く作っていただきたい、と

担当者の方と相談を続けています。

 

 

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