実際のオーダー例
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藍染めクロコダイルのきわどい裁断 手帳カバーの製作
2025/08/24
先日ご紹介しました
藍染めクロコダイルは、
デリケートなサイズ問題を乗り越えて
やっと型紙ができましたから、
裁断しました。
その裁断後の姿が珍しいため
ここでご紹介します。
裁断前の革は下のお写真どおりで、
今回の革は中くらいのサイズ。
斑柄がこれ以上ないくらい整っていて
キズひとつありませんから、
見惚れてしまいます。
この革を気に入ってくださった
クライアントからいただいたオーダーは
手帳カバー。
前回お作りしたものと同じですが、
今回はペンをもっとカバーしたい、と
留めループの幅を広くすることに
なりました。
革をたくさん使うカバーですから、
果たしてこの革で
すべてのパーツを
取ることができるかどうかさえ
今回は大きな課題です。ですから
それに加えたループ幅のサイズ変えは
恐る恐るで、
少しずつ広くしてしていきました。
あまりにギリギリサイズのため、
胃が痛くなるようなご依頼です。
それが楽しいのですけど…
上のお写真は
パーツを切り出した後の革の様子です。
ほとんど余る部分がありません。
ここまで見事に丸っと革を使うことは
滅多にありませんから、
見事なものです。
こんなにギリギリの取り都合でも
斑柄の流れを尊重していますから、
出来上がった時に
違和感を感じることはないと思います。
また、本番パーツしか取れない大きさの
革であっても、
しっかり革の漉き具合は確認します。
どれくらい薄く漉くことができるかは、
製作にとって欠くことのできない
重要なポイントです。
取り都合といえば、以前ご紹介した
ゴールドのクロコダイル製品も
斑柄をどう取るかが肝でした。
いろいろある斑柄の取り方から、
1枚1枚の革の美しさをもっとも
引き立てる方法を見つけます。
美しく出来上がった製品は
誰もが違和感を感じることなく、
気持ちよく使うことができます。
この手帳カバーの出来上がりを
ご紹介できる日を楽しみに、
1人の技術者が製作に励んでいます。

3方ファスナーで180度開くシステム手帳 41204
2025/08/23
お持ち込みいただいた
ゴールドのクロコダイルを使って、
ファスナータイプのシステム手帳を
お作りしました。
ご希望いただいた手帳サイズが
大きく、3方ファスナーで閉じる
タイプだったため、
お預かりした革で、デザイン的に
うまく収めることができるかどうかが
最後まで問題だったオーダー品です。
用紙サイズ自体はバイブルですが、
そこに入れる大き目レフィルが
あるため、それをお預かりました。
今回こちらをお作りするに当たって
たくさんの問題がありましたが、
辛抱強くお待ちいただいて
ありがとうございました。
リングに用紙を挟むシステム手帳は
リング径が厚ければ厚いほど、
全体サイズは大きくなります。
ですがそれを
なるべく小さくしてさしあげたいので
こういった場合、レフィルを
お預かりすることにしています。
システム手帳のサイズが
より大きくなる必然として、
もうひとつ条件があります。
それは、3方をぐるりファスナーで
閉じる手帳で、全開できること。
今回は
その条件の両方に当たりますから、
用紙の大きさと比べますと
かなり大きめに感じることでしょう。
でも、当店でお作りするオーダー品に
無駄な大きさのものはありません。
必然的に導き出された大きさの中で
もっとも小さくなるよう、
すべて計算しています。
当初のご相談内容でしたら、
もっと小さいサイズで
済みそうでしたから、表面の革を
継ぐ必要はありませんでした。
しかし最終的なご希望が決まりますと
継ぐのは間違いないけれど、
果たしてこの革の横幅で
きれいな斑柄の取り方ができるかが
微妙になってきました。
この方からは、2枚の革を
お持ち込みいただきましたが、
できれば表面のメイン部分は
1枚の革から取る方が
きれいな仕上がりになるからです。
ご相談時に革の取り都合について
はっきりお返事ができなかったのは
これが初めてかもしれません。
あまりに微妙な問題でしたから、
「とにかく型紙をきちんと作って
お返事します。」としか言えず、
結果としては、
ギリギリでしたが、理想どおりに
お取りすることができました。
市販の量産品のクロコダイル製品は
斑柄の取り方がさまざまですから、
小物になればなるほど
いろいろな柄方向の製品になります。
多くの製品を
安価に提供しようと思ったら
それは当然の努力です。
でも量産品のように
クロコダイルであることが第一なら
1枚の革の
どこをどう取っても構いませんが、
当店のご依頼者の方々に
宝石のようなクロコダイル革の
一番の美しさを感じていただくには、
やはりこれが王道と思います。
ネットで調べれば
たくさんの製品が見られますから、
当店小物と他製品の斑柄を
比べて見るのもおもしろいでしょう。
当店クロコダイル小物の
典型的な斑柄の製品は、こちらです。
お店にご相談でおいでになって
たまたまご覧になる方は、
「宝石のようですね!」と
同じ言葉をお出しになります。
お写真にはその実際が出せていなくて
申し訳ありませんが、
ぜひ一度店頭でご覧ください。

製作中のオールコードバンのトートバッグ
2025/08/21
当店の長いオーダー歴史の中で
今回初めていただいたご注文品を
ご紹介します。
と言ってもまだ製作中。でも
同じ光景をもう一度見る機会は来る?
という稀有な光景なので、
みなさまにもお見せしたいです。
素材は今回、オールコードバン。
底面から本体、持ち手まですべて
コードバンでお作りします。
ひとつのトートバッグのために
10枚以上のコードバンを
一挙に購入するわけですが、
いつもの革販売の人は
小物を量産すると思ったらしく、
「いくつお作りになるんですか?」
と訊いてきました、珍しいことです。
デザイナーの答えを聞いてその人は
「今までにそんな注文の話、
聞いたことありませんね。
これでバッグひとつですか…」
と心底驚いていました。
*キズを避けたパーツの取り方
どんな革にもキズがありますから、
このように大量に必要とする場合、
必ず型紙を持って
まず革を見に行きます。
今回ラッキーだったのは、
革やさんが発注ミスをして
いつもの倍の量の革があったこと。
ご依頼いただいたトートバッグは
大きさもありますから
たくさんの枚数が必要ですし、
きれいな革でお作りしたいですから
できれば多くの革の中から選びたい、
と思って出かけました。
だから、選び放題!
なんと嬉しいことでしょう。
よくここに書くことですが、
コードバンなどエキゾチックレザーは
一期一会。
とくに今回のように
大量の革を必要とする時に、
量が足りなくて
お待ちいただくことも出てきます。
また、革のお色は
ロットによって変わりますから、
その明度によっては
今回のはちょっと…となることが
ないとは言えません。
ですから、お見積もりにOK頂いたら
デザイナーは、
ざっくりとした型紙を持って
すぐに出かけます。
「ざっくりとした型紙」
というのは、本番用の型紙でなく
これだけの面積の革パーツが
どれだけいるかを示す型紙です。
この時には全体像が出ていますから、
ダミーバッグを作って
技術者とデザイナーが慎重に
ラインを確かめつつ、
一つひとつのパーツにしていきます。
ここまでの作業を最短で行えるのが
店舗に併設したアトリエの強みです。
そして、複数の技術者がいることで
はじめて成立する手順です。
またアトリエが銀座に在りますと、
どの仕入れ先までも30分以内に
着くことができる地の利もあります。
だからこそ、珍しい革も
機会を逃さず
お入れすることができます。
ご希望は、どんな内容でも
まずお話しください。
技術と地の利を存分に生かして、
それぞれのご希望に
お応えしたいと思います。

1点ものハイブランドレザージーヴズ
2025/08/19
発色のきれいな革といえば、
デザイナーはエルメス社の革を
お薦めしています。
もちろん
日本の革ブランドもありますが、
色味が違いますし、
仔牛の革なのでキメが細かく、
表面の型押し模様が
きちんとした印象の革ですから、
ノーブルなイメージで
お使いいただくことができます。
お店には日本ブランドの革も
ご用意ありますので、
お好みの色味をお選びいただくことが
できますが、
どちらかというとクリアなお色の
エルメス社の革を選ぶ方が多いため、
その革が
実際に形になるとどんなイメージか、
ジーヴズでお見せしようと思います。
直近の日本のレザーフェアでは、
日本のどの会社も、クリアで
発色のいいお色を出してきています。
色だけ見ましたら
エルメス社の革も変わらないものが
できるようになりました。
すばらしい躍進です。
ただ、使っていったらどうなるか、
答えが出るには
少なくとも2年はかかります。
場合によっては4~5年かかることも
あります。
品質に責任を持つ当店としては、
その結果を見てからの採用と
なるでしょう。
ちなみに、当店オリジナルレザーが
このレシピで!という決定版の
完成に至るまでの道のりには、
10年ほどの時間がかかっています。
使って行っての経年変化まで
注目して作ったからです。
さて話がそれましたが、
本日はエルメスレザーの
ジーヴズをご紹介しました。

持ち込みワニ口バックル用のベルト 505N
2025/08/18
ベルトバックルには
バックルパーツに帯を挟み込む
「ワニ口タイプ」があります。
市販の安価なものにはこれが多く、
使う方が、ベルト帯本体を
ご自分のサイズに合わせてカットし、
使い始める必要があります。
今回お持ち込みいただいたのは
このワニ口タイプですが、
きちんと作ってあって
安価なものではありません。
作り方も凝っています。
この方から、ずいぶん探したけど
ベルトを作ってくれる所がなくて、
と、メールをいただきました。
前にも書きましたが、
ベルト製作をする所がないことには
理由があります。
ベルト用の革には
長く、良質な革パーツが必要なので、
楕円形をしている1枚の革の
ど真ん中をカットすることになります。
結果、パーツの取り都合が悪く、
このパーツを取ってしまうことで
他のパーツが取れなくなってしまう
という不都合が起きます。
要するに、
歩留まりがかなり悪いのです。
このたび持ち込まれたバックルが
安価でないことが一目でわかるのは
ベルトの作り方。
もちろんバックルのサル革も
芯材が入り凹凸がしっかりあります。
長年お使いになったからかどうかは
わかりませんでしたが、
通常のベルトに比べると
縫い代が極端に少なく、
幅の真ん中と縫い代部分の厚みに
極端な差があります。
なかなかデリケートな作りのうえ、
糸の色も薄いブルー。
こういうデリケートな作り方を
読み解けなければ、
現物を再現したい方のための
オーダーメイドを
お受けすることはできません。
また、背中の内側に
ネームもお入れしました。
これも、ベルトの左右を間違えたら
逆さまになってしまいますが、
デザイナーはその正逆については
ご依頼者にお尋ねしておりません。
なぜそれがわかったかは、
観察力のおかげ、と言えましょう。
遠方の方からのご依頼でしたから
お届けでのお渡しでしたが、
ご感想を頂戴しました。
ご紹介します。
************
ベルトを無事に受け取りました。
細部まで丁寧に仕上げていただき、
あらためて
お願いして良かったと思います。
こうした細かい依頼を
引き受けてくださるところが
見つからず困っていましたので、
本当に助かりました。
************
今回は普通の製作方法では
ありませんでしたから、
ご満足いただけたことに安心しました。
2本お作りしましたが、
1本がかなり長くお使いいただけると
思います。
長きに渡るご愛用を願っています。
ありがとうございました。