実際のオーダー例
40年3,000件を超えるオーダー実績
貴方のオーダーのヒントになさってください。
カテゴリー
何個目かの、いつものファスナーポーチ(クラッチバッグ) 508N
2025/09/24
ありがたいことに、新しいものも
ご注文いただきました。
データは残してありますから、
毎回なるべく同じにできるよう
お作りしています。
前にお書きしたとおり
「以前と同じものを」というご注文は
存外に難しいのですが、
このくらいのサイズになってきますと
ほぼ同じくお作りできます。
とにかく
デリケートな小物ほど難しくなります。
こちらのクライアントは
もう何度もおいでくださっています。
ご職業は存じあげませんでしたが、
今回初めて、医師だということを
明かしてくださいました。
「だってね、自分が欲しいものを
作ってくれるところって、
他にないんですよ。だから
皆さん身体を大事にしてくださいね。
私は医者ですから、何かあったら
すぐに相談してください。」
なんと嬉しいお言葉でしょう!
毎回同じポーチを
ご注文くださいますが、
素材を変えたことはありません。
当店オリジナルレザーのルバルには
手に吸い付くような手触りがあり、
これが「普通」になってしまいますと
まず他の革には代えられなくなります。
こうして
気に入っていただけて良かったです。
ファスナーにも
柔らかいナイロンを使いますから、
もしかすると、手を
大切になさっている方かもしれません。
前回お色直ししたポーチは
とてもきれいに仕上がりました。
きっと場所場所で
使い分けてくださっていると
想像しておりますが、
いつも喜んでくださるのが
とても嬉しいです。
ご愛用に感謝申し上げます。
31枚パーツの長財布へのさまざまな検討
2025/09/23
「オーソドキシーのすべてを
あなた一人のために…」
1点のオーダー品をお作りするのに
どれだけ多くの検証をするか。
どんなに言葉を尽くすより、
このお写真をお見せする方が
きっと理解しやすいだろう、と
みなさまにお見せします。
上のお写真は、
ご希望の仕様をまずざっくりと
試作したものです。
それは、きちんと機能するかどうか
確認するためでもありますし、
もっと良くなりそうなアイデアを
見つけられたなら、
それを取り入れるために行っています。
これはもちろん、ご相談者の理想を
深く理解することから始まります。
また当店では
さまざまな革質を使いますから、
それぞれに合った加工の仕方を
一点一点選んでいきます。
これが想像以上に難儀で、
上のお写真では、ピンクとブルーが
ミルフィーユのように重なる断面を
どう加工するか、決めるために
革の相性と色の相性を
実験しているところです。
お渡しした時にクライアントから
違和感なく、きれい、
とすんなり思っていただけることが、
その選択が成功したかどうかの
判断となりますから、
デザイナーは
「お渡しする時一番ドキドキします。」
と言っています。
どなたからも「すてき。」
と言っていただけるよう、
一つひとつのオーダー品に
これ以上ないほど心を砕いています。
プレゼントの単行本カバー、栞付き 50812
2025/09/22
テレビにも出ていらっしゃる著者へ
お誕生日プレゼントとして
単行本カバーをご注文いただきました。
会社の社長さんから秘書を通じて
頂戴したご注文品です。
最近では秘書の方々から
お店をお探しいただくことも増え、
ありがたいことです。
今回はあまり細かいご希望はなく、
オリーブグリーンでという「色」が
非常に大事でした。
オリーブグリーンをご希望いただく時
カーキ色と同様
気を付けなければなりません。
2種のグリーンがあるからです。
カーキにしても、人によっては、
ベージュ系やブラウン系を
カーキと呼ぶ方もいらっしゃいます。
今回その確認をしましたら、
「国防色」というイメージでしたから、
こちらのお色をお見せしました。
お話しする年代によって
色を呼ぶ名も変わります。
こんなことも知っていることが、
フルオーダーメイドの
コンサルタントには大いに役立ちます。
このように、色ひとつとっても
人によって解釈が違いますから、
フルオーダーメイドでは、ご相談時に
ご相談者のおっしゃる真の意味を
どこまで正しく理解しているか、が
もっとも重要なことがらになります。
革製品のフルオーダーメイドの場合、
コンサルタントは
広くいろいろなことを知っていて、
新しいことが出てきても
即座に理解できる抽象性が必要です。
そしてファッションに興味があれば
言うことなし!
どなたかこの仕事、やってみませんか?
31枚や51枚のオーダー長財布パーツ!
2025/09/21
私たちは複雑なオーダー小物を
たくさんお作りしています。
複雑な仕様だからこそ
オーダーが入る、のだとも言えます。
そんな中でも財布にはとくに、
忍耐力を必要とする長大な製作過程が
多くあります。
具体的にこの工程の多さを
どうご説明しようかと考えたのですが、
デザイナーが、
たまにはパーツをお見せしちゃおう!
と、現在製作中の長財布のパーツを
ほぼ揃えたところで
お写真を撮りましたので、お見せします。
*まだ荒裁ちのところもありますが、
この長財布には31枚のパーツが必要。
この長財布の完成をご紹介するのは
まだまだ先の話ですが、
さらにこの上を行く51パーツでした。
下のお写真で
この財布の仕様の複雑さをご覧ください。
革を裁つ前の構想が重要だというのは、
これだけのパーツ数から言っても
容易にご想像いただけると思います。
一度カットしてしまったら
直すことのできない革は、
裁つ前に
どれほど慎重に構造を考え、
それに沿って
型紙を揃えていくでしょう?
複雑な仕様のお財布も
みっつの頭で討論して考えるからこそ
ちゃんと機能する製品になります。
31枚どころか51枚という
驚くべき数のパーツを、
それぞれの部位のあるべき姿に従って
機能的かつきれいに作って行くのは、
技術力だけでなく
忍耐力のいる仕事です。
驚きの中身と厚さ、L字ファスナー長財布 50505
2025/09/20
「ずいぶん探したのですが、
自分の思うようなお財布がなくて
オーダーしようと思いました。
まずおいくらくらいでできるのか、
見積もりを出してもらえますか?」
はい、承知しました。
こういうご相談も大歓迎です。
革製品のフルオーダーメイドを
お受けしているところは
それほどありませんから、
何でもどんどん質問してください。
というわけで、本日のご紹介は
なぜこのタイプのお財布が
市販で売られていないかが分かった、
というほど貴重な
L字ファスナー長財布です。
先にちょっと横道に逸れますが、
「オーダーの相場を教えてください」
というお問い合わせを
いただくことも、しばしばあります。
「相場」という
一般的な価格があるほど
たくさんの作り手がいるわけではない
業界なので、当店では、
当店のお見積もりをお知らせします。
その場合、ご希望内容をある程度
具体的にお知らせいただきませんと、
見積もりはお出しできません。
同じ大きさのオーダー品でも
仕様の複雑さでお値段は変わりますし
小さくても手の込んだものであれば
バッグの値段になることもあります。
ご来店でご説明いただくのは
もっとも簡単で速いと思いますから、
可能な方はどうぞご来店ください。
メールでしたら、
お写真をお送りいただいたり、
全体像のわかる簡単な図や
近い製品の載ったURLを
お知らせください。
*縦入れのカード入れ2面を独立させて
より取り出しやすくしています。
またそういう質問の中で、
お見積金額では
材料費が大きな比重を占めていると
思っている方は少なくありません。
エキゾチックレザーの場合には、
それはある程度当てはまります。
しかし実際
一番比重が高い問題は、
ご希望のオーダー品を確実に
作れるかどうか、という
プロの考察と製作技術です。
というのは、フルオーダーメイドは
ご相談から製作まで
すべての工程において
3人の知恵が寄り集められる製作で、
そのうちの製作者は、製作において
取り掛かりから完成時までずっと
そのひとつのオーダー品に
かかりきりになるからです。
「すべてはあなた一人のために」
という当店のキャッチフレーズは、
決して大げさな言い方ではありません。
ですから、
どこにも存在しない「幻のお品」が
いろいろとできるわけですが、
今回のお財布は、なるほど
なぜ市販にないのか、
その理由を知ることができた
オーダー品となりました。
皆様は、L字ファスナーの長財布で
これほど厚みのある製品を
ご覧になったことがありますか?
おそらく一人もいないと思います。
というのは、見た目に問題なくとも、
普通に作ったのでは
使う際にトラブルがあるからです。
しかもそれは、
頭で考えただけでわからない
トラブルでした。
そもそもなぜこれだけの厚みを
出さなくてはならなかったか、
と言いますと、
中身がたくさんだったから、という
シンプルな理由になります。
ご相談をお受けしているその場で、
デザイナーと製作者が
シミュレーションしてお答えした
必要な厚みは、最低27ミリでした。
実際にはさらに
1~2ミリ厚くする必要がありました。
*財布を開くと手順良く
小銭入れを開くことができる仕様。
今回のように、
存在しない製品のサイズを
製作前にお報せできるお店は、
ほとんどないでしょう。
当店のこんなところが、
お受けした仕事をきちんと全うできる
根拠となっております。
またこれによって、
ご相談者もリアルに製品を考えることが
可能になります。
そんな経緯でご注文いただき、
予定より少しお時間頂戴しましたが、
苦労の後を見せずに
お渡しすることができました。
お受け取りの際の
ご依頼者の嬉しそうなご様子が
今でも目に浮かびます。
このたびはありがとうございました。
どうぞ長くお使いください。
10年以上は問題なく使えます!

















