実際のオーダー例
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貴方のオーダーのヒントになさってください。
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310gのショルダーバッグ 504N
2025/05/23
遠方からお訪ねくださったご依頼者。
「どのように説明しましょう?
これくらいの少ない荷物を入れて
肩に掛けたいのですが…」
おいでになる前に
メールでご希望の革のお色を
伺っていましたから、デザイナーは
ご依頼者のご希望に近い赤の革を
2種ご用意し、お待ちしました。

「ああ、これこれ、
こういう形が欲しいんですよ。」と、
を指さしてくださいました。
「ああ、良かった。
ここから先はどう説明しようか、
今まで考えていましたから。」
このようなクライアントは
他にもいらっしゃると思います。
でも大丈夫、
いつもきちんと意思疎通ができます。
それは毎回不思議ですが、
コミュニケーションというのはまさに
「理解してもらいたい意思」と
「理解したい善意の意思」から
成り立っているのだと、
デザイナーは言っています。

驚いたことにこの定番が、
今回のクライアントの
思った通りの形だったそうです。
すてきなセレンディピティです。
「そうしましたら、
この中にモノを入れて
肩に掛けてくださいませんか。
それでショルダー紐の長さなどを
体格に合わせたいと思います。」
現物があると、話は早いです。
内ポケットを少し変える以外は、
店頭のお品の大きさや
ショルダー紐の長さもぴったりです。

お仕事でよく
東京においでになる方なので、
ピックアップ時も店頭になりました。
「お、良い感じだね。これは
良い赤です。気に入りました。」
実際に肩に掛けていただくと、
「軽いね。長さもちょうどいい。」

今回のポイントになったのは
救急車のような赤で、
という赤の革のお色でしたが、
出来上がったバッグを見て、
「フェラーリの赤じゃないですか!」
とは、バッグを見た技術者のひとり。
きっとご注文者は
車好きの人ではないかしら、
と思った一場面です。
喜んでいただけて良かったです。
このたびはありがとうございました。

ブランドサイトを再リニューアルしました。
2025/05/23
引越し後の新生オーソドキシーは、
「本気、本音、本物」の来たる時代へ向けて
みなさまと新しい旅を始めます。
今までと違ったアプローチのウェブに
戸惑う方もいらっしゃるかもしれませんが、
使いやすさに焦点を当てています。
ブログを始めとし
全編を愉しんでいただけることを願っています。

さくらピンクの折り財布 50208
2025/05/20「今までずっとこの財布を使っていて、
これが2代目です。
でもこれも使い始めてずいぶん経って
そろそろダメになってきたので、
買い替えの時期が来ました。
ですがこの財布は
もう作られなくなってしまったので、
オーダーで作ってもらって
長く使いたいと思います。」
ありがとうございます。
*ハイブランドのさくらピンクの革を外側に、
内側に少しだけダークグリーンを使いました。
お母様とご一緒に、当店製品をたくさん
ご愛用くださっているクライアントです。
いつも言ってくださることは、
「ブランド品は誰でも持ってますし、
ほとんどがブランドの宣伝バッグですから、
私としては、ほんとに使いやすくて、
自分が好きでステキだと思うバッグを
使いたいです。」ということ。
嬉しいお考えです。
*ダークグリーンのアクセントが効いています。
お二人はそれぞれ、
「これを使って良かったから」と
ご自分に合いそうな見本バッグを
雑誌の付録などでうまく見つけ、
それを使ってみてから、
改良版をご注文をくださいます。
その見つけ方の上手なことには、
いつも驚かされます。
ご自分が欲しいと思っているポイント、
大きさやポケットの付き方などを、
きちんと把握して選んでらっしゃいます。
この二つ折り財布については
昨年末からご相談いただいておりましたが、
「これは…実際に作るとなると…
もっとも大変な作りであるうえに、
ここまでたくさんのポケットが付いていますと、
オール革でお作りするのは
難しいかもしれません。」と
デザイナーはお答えしていました。
*後ろ面の外ポケットあり。
それが実際にご注文いただくことになり、
「わかりました、やりましょう!」と
お受けすることになりました。
「でも、当店の作り方ですと
裏地までオール革なので、厚くなりますよ。」
とお話ししてはありました。
さてこのお財布、予想通り
製作は想像以上に難儀しました。
というのは、
全体をなるべく薄く仕上げるために
あらかじめ素材の革を漉いておくのですが、
ハイブランドの革の漉きは難しく、
それ以上漉くと耐久性が著しく落ちる、
というギリギリの数字で進めたからです。
まあそれはごく一部の話で、
もっとも大きな課題は、
この財布をどのような順番で作るか、
なのでした。
量産品は流れ作業で、
なるべく作りやすい工程になるよう
手順など熟考の上で工場に提供されます。
そういう製品を単品として、しかも
まったく違う素材を使って
これだけ複雑な仕様で作ること自体が、
アクロバティックです。
どうやってそういう製品を作るかというと、
「作りながら寸法を決め、
考えながら組み立てていく」という
力業以外に、方法はありません。
それほどの技術を持つ人だけが
作ることのできるオーダー品です。
出来上がりを見てご依頼者は
「見本の革よりきれいな色で良かったです。
この色、私は大好き。
きれいに仕上がりましたし、緑もきれいです。」
ありがとうございます。
私たちスタッフも、このさくらピンクと
ダークグリーンの色合わせと分量には、
顔をほころばせました。
マストの色替えパーツを決めていただき、
その他の分量と配置は
デザイナーがお薦めした部分です。
ところが、お家に帰ってモノを入れた後、
ご注文者からお電話をいただいたのです。
「今まで入れていたものが
半分しか入りません…」
えっ、半分?!ということで
急遽、あらためてご予約いただき
お見せいただいたのは、
お引き取りから2週間近く経った頃です。
「本体のパーツが厚くなった分、
入る分量が減ったにちがいない…
どこを直さないといけないかしら?
丸ごと??そこまで入らないとなるとおそらく、
サイズを少し大きくしなくちゃいけないかも。」
とデザイナーは考えつつ、お会いしたそうです。
すると、「このまま使っていこうと思います。」
とのご注文者からの第一声を頂戴して、
デザイナーは驚きました。
「でも、無理して使っていただくのは
まずいですし、私も気になりますから、
まず拝見させてください。」…
結果から申しますと、
2週間近くお使いいただいていたら、
最初よりも革が柔らかくなって馴染んできた
→前よりも入るようになり、
フタが閉まるようになった、とのこと。
*最初はフタのホックが外れたそうです…
入れる量が問題にならなくなった理由には、
ご依頼者が
カードを整理してくださったこともあります。
ありがとうございます。
また、入れたいカードは入るのですが、
数枚の分けたいカードがあるご様子で、
札入れと同じさくらピンクで
簡単なカード入れを作ろうか、と
おっしゃってくださいました。
そこで、簡易なカード入れを
お持ちいただくことになりました。
お揃いで持てば、何倍も楽しいですし。
紆余曲折ありましたが、
新しいオーダー品は
サイズも含めて気に入ってくださったので、
きっとうまくお使いいただけると思います。
何かあったら、またご相談ください。
それにしても、
ハイブランドの革が馴染んで柔らかくなるのは
想像以上に速いことが、わかりました。
使っていくうちに、
もっともっと馴染み、小さくなることでしょう。
こんなことの一つひとつが、
これからのお客様となるみなさまのお役に立つ
経験から来る知識となって行きます。
いつもお引き立ていただき、
いろいろなご教示をありがとうございます。

ロエベ展、ハイブランドのモノづくり
2025/05/18これまでもさまざまなワールドブランドが
東京や京都などで展覧会を行ってきましたが、
先日訪れたのは、原宿のロエベ展。
ロエベは1846年にできた
スペインの革職人の集まりから始まり、
その30年後に招聘した
ドイツ人革職人のロエベ氏が加わったことで、
現在のロエベの出発となりました。
ドイツ語読みのロエベ(レーヴェ)は、
ライオンを指します。
*高価な革の折り曲げテスト機械
この展覧会を通じて
現在の彼らの製作方法を垣間見たわけですが、
彼らがITを駆使し、よりシステマティックに、
デザインしたり、型紙づくりをしたり、と、
均一で良質な量産品の製作を
これ以上ないほどまでに簡略化したことが
はっきりとわかりました。
そしてそれは、日本では
別会社に頼むしかない役割も含めた、
幅広い意味での
すべての製作フローを一貫させて、
ほぼ完璧なものとなっています。
*革表面の擦れテスト機械
一般に売られているブランド品は
ほとんどが量産品です。
その量産品を、技術のない作業員の手でも
きちんと製作できるように、彼らは
日本では考えられない規模の投資をしています。
ブランド独自のデザインを
完成させるためにも、すでに
ITは欠かせないものとなっています。
*ここにある道具は、量産品の世界では
過去のものとなった感がある
モノは何でも、
そこに実在しているという事実を見て、
へえ~こんなものがあるんだ…と、
それが当たり前のように思われますが、
これまでなら、
その裏にある製作の努力には
計り知れない個人技術に関わる
ストーリーがありました。
しかしこれだけのスケールで作るモノとなると、
まったくストーリーは変わってきます。
おそらく作業員は、汗かくことなく、
容易に習得できる技術をもって、
一日の作業を楽しみながらこなし、
日々の生活を送っていることでしょう。
人手が十分あるなら、
ミシンを使わず手縫いの製作、というところも
投資額やスペースに対して
最高に効率が良い方法だと思います。
*クリッカーではなく、
レーザーで行われるパーツ取り
そういう角度から考えますと、
手作りの好きな求職者が
より簡単により良い生活を手に入れられる
職業を増やした、とも言えます。
あるハイブランドが、自国内に
いくつもの工場を作ることができるのも、
その成功の成果ではないでしょうか。
作業員のスキルに関係なく
均一なものを製作できるようにすることは、
究極の量産品製造が目指す方向性なのです。
*コンピューターを使ったパーツ裁断には
まったく材料の無駄がない
そして
それを合理的に完成させる基盤となるのが、
コングロマリットという存在。
これまでの量産では、
人に代わることのできる部分での機械化が
推し進められてきました。
さらに、それが次なる段階に入って
IT技術を活用できるようになると、
これまで個別の技術が必要だった
デザインを生かす型紙づくりだけでなく、
材料から仕上げまで
全工程のフローをどう簡略化させるか、
また、人的な効率を良くするために
能力に頼らないフローをどう実現するか、
という難しい課題を、やすやすと
クリアすることができるようになりました。
結果として、個々人の能力を必要とせずに
量産品の製造を完成することができます。
*簡単に形づくることができる持ち手芯は
3Dプリンタによる製作
ロエベだけでなく、どのハイブランドも
おそらく同じ速度の進行であろうと思います。
どの既存ブランドであっても
大きなコングロマリットに入ることで、
新しく生まれ変わることができます。
その新生のために、
モノを作り始める最初の一歩から
送り出すまでの最後まで、
というすべてのフローを
自社のみで賄えるようにするのだと思います。
*製品の耐久性テスト機械の映像
これに対し日本の製品製作は
多くの場合、縦割りになっています。
ご存じない方には、何のこと?と
ピンとこない表現かもしれませんから、
具体的にお書きしましょう。
たとえば、革バッグを「作るだけ」のためにも、
まず革を作り検品する、革の厚みを整える、
パーツ裁断、張り合わせと縫い、仕上げ、
という工程がありますが(ざっくりですが)、
別会社が請け負う工程も少なくありません。
その他にも、
革や金具の耐久テストをする、
ブランド独自の材料を作る、
など多くの要素がが絡んできますが、日本では
別途、専門機関や会社が請け負っています。
このすべてのフローを一社で賄えるとしたら…
それをやってのけているのが、ロエベのような
現在のハイブランドなのでしょう。
*ロゴ入れの解説、この方法も合理的
コングロマリットの中にはおそらく、
研究所もあると思います。
その研究成果を表す化学や機器を、
まずは業界で共有、次にブランド別に…
という具合に行なっていくとしたら、
こんなに効率の良い研究室のあり方は
他にありません。
各ブランドは利益を生んでくれます。
畑違いの分野の業界の壁も容易に取り払い、
グラデーションしていきながら
特別技術を駆使することができます。
それは高額な機器だけでなく、
革を作る会社も然り、です。
そうなってくると、重要なのは
もはやデザインだけ、という事態となります。
欧米ではすでに、
量産品のモノづくりの場で
働く人に必要とされる要素は、
熟練した技術ではなく、
真面目にひとつのことに取り組める性質、
となることでしょう。
いえ、すでにそうなっていると思います。
手でモノを作ることだけは、
ロボットやITに取って代わることが
できません。ですから
最終的に手縫いの部分を増やし、
人を使って作ることだけが残ったのは、
まさにこの理由からだと思います。
*折り紙のようなバッグ
これもITを使えば型紙はあっという間にできる
よく、ITの発達によってなくなる職業、
という題名の記事を見かけますが、
ファッション製品を作る業界は、
まずデザイナーありき、で進み、他は
IT機器を意図通りに使えるモデラ―や
製造現場の人数こそが大事な要素になり、
極端な話、
他はいらなくなってしまうかもしれません。
久しぶりに見た世界ブランドの展覧会では、
そんな世界のモノづくりの規模を
目の当たりにし、恐怖すら感じました。
彼らがセカンドラインに手を染めたら、
いったい世界はどう動くでしょうか…
*当店の技術力の高さを誇る手作業
大量生産でないから、一点一点違う製作方法
これとまさに対極にあるのが、
当店の「研鑽した技術者の手による製作」です。
コミュニケーションを通じてのみ成り立つ
受注技術はじめ、範例のない製作物を
ひとつひとつ考えながら作る技術。
ガラパゴス的な育ち方をしましたが、
自分たちの能力を極限まで高めていくことで
人に喜んでいただける技術は、
みなさまに期待される限り、進化し続けます。
大きな世界観で動くハイブランド製品と
それと対極の、
小さな世界観のフルオーダーメイド品。
ハイブランドの量産品は、
たくさんの人に美の夢を運びます。
そして、当店の技術はすべて
ご注文者一人ひとりのために使われ、
みなさまの夢をかなえます!
後者が残るのは、これを
希望する方がいらっしゃるかぎり、です。
さて、未来はどこへ向かうでしょう…

デジタルペーパータブレット用ケース 50404
2025/05/15以前にもいくつかの
携帯やPC用のケースをお作りした方からの
ご注文品をご紹介します。
ご注文いただいたケースはよくあるタブレット用、
と思っておりましたら、本体は見たことない形。
機種をお尋ねしますと、
ソニーのデジタルペーパー「DPT-S1」
というものでした。
厚さ7ミリの極薄デバイスが
ぴったり入るよう、お作りしました。
本体は、厚み面がピシッと斜めに
カットされている形をしていましたから、
同じ大きさのモックを作って
ぴったりサイズにしています。
全体を覆うケースで
大きく見えるかもしれませんが、
中身を出しやすいサイズ感です。
ケースを逆さにすると
少しずつ落ちるようにしましたから、
出てきたデバイスの端を掴んだら
スッと出せます。
そういう微妙なサイズでお作りするのは
簡単にできることではありません。
たくさんの経験があってこそ、
正しい「良い塩梅」がわかります。
今回のような薄いタブレットであれば、
全面覆うことで
安心して持ち歩きできます。
そんな理由から、
底に指を入れて押し出す方法ではなく、
スッと落ちる方法を選びました。
製作方法については、製作物に
もっとも向いていると思われるものを、
デザイナーからお薦めしています。
ケースにタブレットペン入れを付けるのは、
ご依頼者のご希望です。
ペンをお預けいただくことができて
助かりました、ありがとうございます。
言葉少ないクライアントですが、
お受け取り時に「うん、よくできてる。」
と言ってにっこりしてくださったことが、
とても嬉しかったです。
これまでお作りしてきた製品を
長くお使いいただいているクライアントから、
何度もご注文いただけることは
まことにありがたいことです。
「これは長く使いたいと思ったので、
こちらをお訪ねしました。」が
ご来店の目的でしたから、
このケースも
気持ちよくお使いいただけることを
心より願っております。