実際のオーダー例
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貴方のオーダーのヒントになさってください。
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ノーブルなオペラグラスケース 50606
2025/07/31
「年齢が年齢なので、そろそろ
息子に渡すものについて考えてます。
こちらで作ったケースや書類入れは
生活の中で手放せなくなりましたが
まだまだ保ちますから、
私がいなくなったら
息子にあげようと思って。
その他、何かない?と考えたら
このオペラグラスのケースを
作ってもらいたい、と思いました。」
文芸評論家で舞台をご覧になる機会も
多いクライアントは、
そろそろばらばらになってきつつある
オペラグラスのケースが気になって、
今回のご注文となりました。
「これと同じケースで良いですよ。
使いやすかったし、
大きさもこれで良かったから。
息子もそれでいいんじゃないかって。
貰うのが楽しみだなんて言うんですよ、
それっていったいどういう意味?
ってやり取りをしたんです。」
ご子息様との楽しい日常会話が
想像できるお話です。
オペラグラスを使うご子息様ですから
おふたり共通の話題も多いでしょう。
「今まで作っていただいたもので
メガネケースは毎日使っていますが、
これがもう手放せなくて…
あ、もう7年にもなるんですか。
書類入れもとても気に入ってまして、
こんなものは売ってないですよね。」
と、今までお作りしたものについて
ご感想を述べてくださり、
お目にかかれて嬉しい時間でした。
オペラグラスを入れたところの
お写真をいただきたかったのですが、
「ちょうどこれからコレを使うので
今日はすぐに帰らなければ。
ほんとに今日受け取れてよかった。」
とのこと。
「こんなに小さなケースだから
誰もこんな値段だと思わないよね!」
と、にこにこしたお顔で
あっという間に持ち去りました。
すばらしい笑顔の持ち主です。
「小さいから大変なんだけどなあ…
って、今度お会いした時
お話ししましょう!」
見送ったデザイナーも笑っています。

顧客からの特別注文、手縫い小銭入れと札ばさみ 50601
2025/07/30
当店には、
顧客になっていただいた方には
顧客だけの特別なサービスメニューが
あります。
それは、普通はお受けしていない
鞄ではない製品についてだったり、
他社製品を壊して
リメイクすることだったりします。
今回は後者で、ランドセル。
リメイクの場合はたいてい
ご注文者の記憶にとどめたいお品を
お持ち込みいただきます。
祖父母やご両親のバッグが
多いでしょうか。
お子様のランドセルを
お持ち込みいただいたのは、
今回が初めてです。
男女一人ずつのお子様がいらっしゃる
クライアントご夫妻は、
お話ししていると笑顔を誘われる
ステキなお二人です。
「おじいちゃんと息子に
こういう小銭入れを作りたいです。」
とご注文いただいたのは、
手縫いの小銭入れふたつ。こちらは
男の子のランドセルで作りました。
革素材と思ってお受けしましたら
クラリーノで、薄く、縫いにくく
想像以上に難儀しました。
栃木レザーの担当者と話した時の
「合皮はうまくできてますからね、
燃やさない限り、私たちにだって
見分けられないですよ。」
こんな言葉を思い出します。
でも、お受けしてしまいましたし、
おじいさまにプレゼントする日も
迫っています。
女の子のランドセルは
やはりおじいさまへのプレゼントで、
小銭入れとセットで使う札ばさみ。
お話伺いますと、
おじいさまはお孫さんが大好きで、
ふたつのランドセルは
おじいさまからのプレゼント。
こういう形でそのふたつが、
おじいさまへ戻っていくなんて
すばらしいご家族です。
「キズは消せないので、
そのまま出てしまいます。」と
お話ししましたら、
「2人のことが大好きなので、
それはまったく構いません。
2人のランドセルだったものを
こうして持つことができれば、
とても喜ぶと思います。」
とのお返事です。
後日お目にかかりましたら、
「おじいちゃんはね、あれを
大事に使っていますよ。
家に戻ると中身を出して、
置く場所を決めているくらいです。」
と教えてくださいました。
ありがとうございます。
クライアントのみなさまの
お子様が大きくなったと知るたび、
時間の進み方を感じます。
どうぞいつまでもお健やかに。

お札のはみ出す二つ折り財布 50405
2025/07/29
「昔アメリカで買った財布ですが、
このサイズが気に入っているので
作ってもらいたいです。
随分探したのですが、
どこにもなくて。」
*横長のこの財布のタテ寸法は→
拝見してすぐにお尋ねしたのは、
「このサイズだと
ずいぶんお札がはみ出しますよね?」
という質問です。
誰もがわかるほど高さのない財布で、
どうやって使ってらっしゃるのかと
不思議に思ったほど。
「それが探してもない理由です。」
これを
当たり前に使ってらっしゃる方ですと、
他の財布はさぞ使いにくいことでしょう。
使い方は納得しましたが、
気持ち的には、すぐに
入り込むことができません。
でも製作に入る前にはすっかり
この方の気持ちになっています。
これがフルオーダーメイドの製作です。
*→札の短辺がこれほど出る高さです。
この方は、長い海外勤務で
ハードに使うということでしたから、
外側の革は保ちが良いように
見本品より少し厚くしています。
この初めてのご注文で
「予備も含めて
2点作って欲しいです。」
と言われましたが、デザイナーは
「とにかく1点お使いになってから
どうするかお考えになったら?」と
とりあえず1点お作りすることを
お薦めしました。
それは、使わなくても
革が劣化していくからです。
そして、現在お使いの財布の原型で
お作りしますから、
出来上がったばかりはきっと
入れにくいと感じるでしょう。
それほどたくさん入っています。
そんなお話をしますと、それでは…と
ジーヴズをご注文くださいました。
「これは試してみたい財布ですね。」
店頭のジーヴズをポケットに入れながら
「もう少し小さくしたいかも…」
とおっしゃっています。
というわけで、同じ財布を2点ではなく
「試しましょう!」と、もう一点には
ジーヴズをお選びくださいました。
今回のお財布をふたつ、と考えながら
別のアプローチを試してみるとは
楽しい方です。
ヨーロッパが近いと移動が楽ですから、
種々のコンサートにお出かけになって
海外駐在を
充分に堪能してらっしゃるご様子です。
ふたつの財布をどう使い分けるか、
そのうちお聞かせください。
このたびはありがとうございました。

後加工、リザードジーヴズへのDカン追加 506N
2025/07/28
当店でお作りしたものに対して、
何か変更したいことがあった場合
出来得る限りのことは行っています。
今回は深いパープルのリザードで
お作りしたカードサイズジーヴズに
Dカンを付けたい、というご依頼。
*背中側に付けたDカン。
*もともとのカードサイズジーヴズ
エキゾチックレザーのような
特殊な革の場合、
まず革があるかどうか、次に
取り付ける場所の候補を挙げ、
ご相談を続けていきます。
当店は、アトリエを併設して
一点一点をお作りしていますから
加工可能な範囲は広いですが、
できないこともあります。
その時はその理由をご説明します。
いずれにしても、
後から直すという行為を
1本のストーリービデオで説明しますと
出来上がり時から
該当箇所を加工した場面まで
巻き戻す、ということになりますから
最悪、ばらばらにして
最初から作り直すことになります。
バッグの場合は、ほとんどできない、
と思っていただくとよろしいかと
思います。
でもとにかく、思ったことは
なんでもご相談ください。
このたびはご相談を
ありがとうございました。
長くお使いいただけることを
心より願っております。

ボストンバッグ「シエナ」サイズ変更 504N
2025/07/27
ネイビーのルバルxベージュの
組み合わせでご依頼いただいた
自重が軽いうえ、
短めのショルダー紐が
荷物の重さを
軽く感じさせてくれることから、
人気ある定番です。
*定番は45センチですが、
このバッグの大きさは40センチ。
型紙を新たに作らないと、
オリジナルデザインは踏襲できない。
今回のクライアントは当店定番を
たくさんお持ちくださっていますし、
独自のフルオーダー品も
いくつもお持ちになっています。
当店定番を重用してくださる方は
ほとんどがフルオーダーを経験済みで
そこから、定番のリーズナブルさと
熟慮された使い勝手を
ご理解くださっています。
ありがたいことです。
*スマホをさっと取り出せるポケット
当店定番品は
長い期間、定着していますが、
必要があると感じたらつねに
仕様をブラッシュアップしています。
それが上のお写真の
マチ部分に付けたサクッとポケット。
この定番が出来た20年ほど前は
これほどまでに
スマホが普及してなかった時代でした。
また、正面のポケットには
ある程度の必要物が入りますから、
このポケットは要りませんでした。
ところが今は
スマホを持って旅することが当たり前
ですから、このような
さっと出し入れできるこのポケットは
バッグに必需のものとなっています。
*本体の外ポケットには、
航空機チケット用、パスポート用の
ポケットがそれぞれあり、
本や空気枕なども入るスペースも。
たまたま最近、あるお客様から
メールでご質問いただいたことから、
定番について考える機会を得ました。
それは、有名ブランドのある定番品を
当店でオーダーメイドするといくら?
という質問をいただいたことが
発端でした。
ご質問者は、それが
高額なブランド品に対する
アンチテーゼになるとお考えでしたが
デザイナーは
「それはナンセンスかな。」と
以下の話をしてくれました。
まず第一に、
何十年も作り続けている「定番」を
持っている有名ブランドは
どれほどあるでしょうか?
ちょっと思い出すだけでも、
一時期、頻繁に街で見かけた
有名ブランドの製品が
今ではほぼ見られません。
そして既に、
そのブランドショップには
その製品が出されてもいません。
これは何を意味するでしょうか?
これは、「定番製品」を
コンスタントに作り続ける、
そしてそれを売り続けることが
いかに困難であるかを物語っています。
大きな有名ブランドだけが
製品を販売できる売り場を
世界中に持っていますが、それでも
「定番バッグ」を何十年も
売り続けることは、
不可能に近いことです。
だから常に新しいデザインを考え、
新しいものを産み出すことに向かう。
「トレンド」とはそこから生まれた
方便だと思います。
*178センチの男性が持った時。
そんな中で当店は、
定番品を何十年も持ち続けています。
これは、デザインが普遍的なもの、
目的に合った使い勝手が良いもの、
楽しく持てるもの、など
時代が変わっても変わらない製品を
ピックアップしているからです。
また、お店の規模と製作量を
合致させていることも大きな要因。
だからこそ
一点一点を大事にしながら、
時代によって
変えるとより良くなる内容を加味し、
ブラッシュアップしていけるのです。
いくら定番であっても、
こういった努力なしには
時代にそぐわないし、結果として
みなさまから受け入れられないことに
なってしまいます。
定番品を生産し続けることが
現実的でないことには
じつはもっと深い理由があります。
供給する側として、ハイクォリティの
定番品を長らく供給するには
大変な努力が必要です。
そして、一定顧客にいきわたった後も
定番品を売り続けることの困難さは、
想像以上のことです。
顧客の数は限られていますし、
飽きやすいですから。
有名ブランド品といっても
あくまでも量産品ですから、
売り手買い手の帳尻が合うようにして
定番としての灯を消さないように
それを維持していくことは、
普通のやり方では無理でしょう。
だから、極端な言い方になりますが
普通は新しいデザインに頼りますし
同じ形で素材を変えただけの定番品を
「新作」として発売します。
*157センチの女性が持った時。
いっぽう供給側には
作り手やお店の数に見合った点数の
高品質の製品を常に生産できることが
大きな課題になってきます。
普通の量産品でも
リピート生産されるものは
ほとんどありません。
その理由としては、
その製品の製法と工場のフローを
いったん手放してしまったら、
復活させることが大変だからです。
クォリティが高ければ高いほど
それは困難になってきます。
しかも、
生ものである革素材を使って
品質を落とさず供給するのですから、
どれほどハードルが高いことか…
オリジナルの金具製作も同様です。
量産品vsオーダーメイド
という図式は、
一見正しいアンチテーゼの図式に
思えると思います。
しかし、当該ブランドでない限り、
オーダーメイドにおいては、
現在はどんな革も入手できるように
こそなりましたが、その他の素材、
たとえば金具の入手は不可能です。
また、製作個数の少なさゆえに、
一貫した効率的な製法とフローを
使うことも、持つことも出来ません。
一般の量産品と比べれば
ずっと良いクォリティで
お作りできますが、
有名ブランドが社運をかけて作る
定番品と比べるのはナンセンスです。
お値段が高いか安いかは
売る側、買う側で決めることですが、
ひとつの定番製品ができるまでの
想像を絶する努力は、
買う側に見えることはありません。
そんなことをお考えいただけば、
リーズナブルかどうか、という質問は
その製品に付けられたお値段を
買い手が認めるかどうか、
という単純な問題であることを
ご理解いただけることと思います。
お話が脱線してしまいましたが、
クライアントからはお届け後に
ご感想を頂戴しました。
************
ボストンは単体で見ると小さく見えるのに、
持って鏡に映すと
結構たっぷり入りそうで驚きました。
色もとても素敵で、
ワックスの色も地色になじんでいます。
************
いつもご感想をありがとうございます。
華奢な体格にお似合いのサイズで
ご注文いただけたと思います。
たくさんお出かけして、
たくさんお楽しみくださいね。
このたびもありがとうございました。